この記事を読んだ人におすすめの記事×

Original.jpg?jp.co
出典元URL:https//www.shutterstock.com

コンテンツマーケティングが解決してくれる!?アドブロックとユーザーの広告スキップ!

コンテンツマーケティングが米国で成立するのは、従来の広告手法がすでに壊れており、ユーザーのリテラシーが高くなりすぎている事にある。それを解決するためには、国内のマーケッターや経営者意識の変革だけではなく、行動することが大事になっている。

  • はてな
  • Twitter
  • facebook
  • google+
  • LINE

目次

生活者のメディア接触が変容広告をスキップする生活者

コンテンツマーケティングが注目を集める背景には、生活者のメディア接触時間の変化がある。下の図は、総務省の「平成25年度版 情報通信白書」に掲載されている調査結果だ。「テレビ」「ネット(インターネット)」「新聞」「ラジオ」の4メディアについて、10代~60代の各世代における平日の平均利用時間と、利用者の割合(行為者率)を比較している。この調査によれば、10~60代の全体で最も平均利用時間が長いメディアは、「テレビ(リアルタイム)視聴」の184.7分だった。これは、2位の「ネット利用」(71.6分)の約2.6倍だ。

ただし、10代、20代の若い年代に限ってみると状況は変わる。年代が下がるにつれてテレビの視聴時間は短くなる。10代ではネット利用がテレビ視聴よりも長い108.9分、20代のネット利用は112.5分とテレビ視聴の121.2に肉薄する結果だった。「ラジオ聴取」や「新聞閲読」に至っては、10代、20代の平均利用時間は10分にも満たない。
行為者率についても、ほぼ同じ傾向が見える。10~60代の全体では、テレビ視聴の割合が87.5%とトップで、それにネット利用が続く。だが、10代、20代ではこれが逆転している。10代ではネット利用が80.9%、20代では90%に達し、テレビ視聴を上回った。若い世代にとっては、もはやテレビよりもインターネットの方が身近なメディアのなっていることがうかがえる結果だ。

① ほぼ全メディアの接触時間減少により、メディア総接触時間は378.0分と減少に転じる。
・「タブレット」を除く6メディアの接触時間減少により、1日当たりの週平均のメディア総接触時間は昨年の393.8分から378.0分に減少。
・「携帯・スマホ」は調査開始以来初めての微減(16年:90.7分→17年:90.2分)となったが、「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」の4マスメディ
アと「パソコン」がそれぞれ減少、さらに「タブレット」のみ微増(16年:24.9分→17年:25.0分)したため、「タブレット」と「携帯・スマホ」を足し
たモバイルのシェアは30.5%と初めて3割を超えた。
② 全メディアでライト接触層(1日あたり接触時間1時間未満)が増加。
・①にあるように「タブレット」を除く6メディアの接触時間減の原因として、全メディアでのライト接触層比率の増加が考えられる。特に「パソコ
ン」はライト接触層が大きく増加(16年:45.1%→17年:52.5%)し、2011年をピークに接触時間減少がさらに続くこととなった。
・また「雑誌」「パソコン」以外の5メディアでは、上記のライト接触層比率の増加に加えて、ヘビー接触層(1日あたり接触時間3時間以上)比
率の減少が同時に起こったことも各メディアの接触時間減少を促進した。
③ 「スマートフォン」の所有率は77.5%と8割に迫る。中高年層の所有率増加が要因。
・性年代別に見ると男女とも30代以下の層は横ばいで、40代~60代の上昇が顕著。
④ 世の中の情報量の過剰感と情報へ信頼性を求める意識が高まる。

・「世の中の情報量は多すぎる」が10ポイント近く上昇(16年:42.1%→17年:52.0%) し、過半数を超えた。さらに「インターネットの情報は、
うのみにはできない」もそれに次ぐ7.3ポイント上昇(16年:71.7%→17年:79.0%)で、ほぼ8割の人がネット情報の信頼性に対して疑問を
抱いていることが分かる。
・また「気になるニュースは複数の情報源で確かめる」が5.3ポイント上昇(16年:59.1%→17年:64.4%)する一方、「情報やコンテンツは無
料で十分」が-6.8ポイント(16年:46.0%→17年:39.2%)と最も減少した項目となった。情報量の過剰感を感じつつ、あふれる情報の
中で信頼できる確かな情報を求める生活者の気持ちの高まりが感じられる。

博報堂DYメディアパートナーズによる「メディア定点調査2013」でも、同様に若年世代でのインターネット接触時間が長く、年代が上がるほどテレビの接触時間が長くなる傾向が示されている。
この調査では、テレビを視聴しているときの携帯電話やスマホの使用状況も調査している。


【テレビ視聴時の態度・行動:東京地区】よくある+たまにある計
■携帯やスマホを操作しながらテレビを見ることがある:48.6%
■気になることがあるとすぐに携帯やスマホで調べることがある:42.8%
■ソーシャルメディアから得た情報がきっかけでテレビを見ることがある:25.1%
■テレビを見ながら、その番組に関する書き込みをしたり、読んだりすることがある:14.8%

「携帯やスマホを操作しながらテレビを見たことがある」と回答した人は全体の48.6%、「気になることがあるとすぐに携帯やスマホで調べることがある」と回答した人は全体の42.8%となった。テレビの情報を真剣に見るというよりも、生活の中の背景としてテレビをつけながら、インターネットを使って他の調べものや情報閲覧をしたり、テレビから得た情報を検索してさらに詳しい情報を確認していたりする人が半数近くに上がることがうかがえる。
なお、インターネットへのシフトは特に30代以下の若い世代において顕著であることが、同じメディア定点調査を見ると確認できる。調査では、「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」のマスメディア4媒体と、インターネット(パソコン、携帯電話)の1日当たりの接触時間(週平均)を性別、世代別に聞いている。

男性10代・20代、女性10代・20代・30代では、携帯電話からのインターネット接続時間が60分を超える。
依然として「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」の既存メディアの接触時間の割合が圧倒的に高いのは、50~60代の女性だった。40~60代の男性はインターネット利用時間が比較的長いものの、やはり既存メディアへの接触時間が多い。しかし、30代以下の世代になると様相が大きく変わる。既存メディアとインターネットの利用時間はほぼ同程度になっており、15~19歳と20代の男女ではインターネットの方が利用時間は長くなっている。

若年層で購読者が減少する新聞 毎日読む10代は10%台

「新聞に関する調査」(ライフメディア リサーチバンク、2013年10月)

出典:http//research.lifemedia.jp

「新聞に関する調査」(ライフメディア リサーチバンク、2013年10月)

出典:http//research.lifemedia.jp

新聞も、かつてはテレビと並ぶ大きな情報源の一つだった。だが、「若者の新聞離れ」などと言われるように、新聞の購読率も若い世代では大きく下落している。インターネット調査などを手掛けるライフメディアの調査サイト「リサーチバンク」が2013年10月に発表した新聞購読についての調査によると、50代以上の年齢の高い層では新聞を購読している割合が高く、60代の男性では実に75%が新聞を「ほぼ毎日読んでいる」と回答している。この数字を見ると、50代以上に訴える広告戦略としては、まだ新聞広告に一定の効果があることが分かる。

一方で、新聞を「ほぼ毎日、読んでいる」と答えた10代男性は19%、女性は13%に過ぎない。新聞を読まないと答えた10~60代の男女に「読まない理由」を聞いた結果では、「インターネットのニュースサイトで十分だから」が50.3%に達した。これに「テレビのニュースで十分だから」が続く。ニュースの情報ソースとしては、「早さ」「手軽さ」といった利点によって新聞から別のメディアに移っている。中でも、インターネットが情報ソースの中心になりつつあるということだろう。

既存メディアの代表といえるテレビ、新聞までは、若い世代で視聴時間が減ったり、広告を見なくなったりする傾向があることが調査データからも分かる。現在は若い世代で特に顕著であるが、今後、時間がたつにつれて、既存メディアでの広告戦略が効果をもたらさない年齢層が広がっていく。ターゲットとする層に情報を届けるための広告戦略は、宣伝費に頼ったマスメディアへの露出だけではなく、根本的に見直す時期に差し掛かっている。そのことが、これらの調査データから分かるだろう。

デジタルパワーを得て購買行動が変わる生活者

生活者の変化は、メディア接触時間だけではない。生活者が、情報を受け取った後の行動はインターネットの普及によって大きく変わった。これまで受動的にメディアからの情報を得て、その情報に刺激されて消費をしていた生活者は、より良い判断ができるように能動的に情報を収集するようになっているのだ。
総務省の「平成23年版 情報通信白書」では、情報通信技術の普及による国民生活の変化を検証している。その中で興味深いのは、様々な分野の情報源としてウェブサイトの存在感が増しているという結果である。この調査で2005(平成17)年と2010(平成22)年の状況を比較している。平成17年には「ウェブサイト(パソコン)」を情報源としてあげる人は少なく、テレビや新聞を主な情報源にする人が多かった。しかし、5年後の平成22年になるとウェブサイトを情報源として利用している人の割合(利用率)が多くの分野で軒並み増えている。特に、「ショッピング、商品情報」「旅行、観光情報」の分野では「ウェブサイト(パソコン)」の利用率が最も高まっている。
ウェブサイトは、生活者の情報源として確立したことが分かる。調査は4年前の状況である。その後、スマホの普及によってインターネットを使った情報収集がさらに簡単になっていることから、インターネットの割合はさらに高まっていると考えていいだろう。

購買プロセスの変化 口コミ評価が当たり前に

ここで、インターネットが普及する「以前」と「以後」に商品購買に至るまでのプロセスがどのように変化したかについて考えてみたい。
以前は、生活者の購買プロセスがどのように変化したかについて考えてみたい。
以前は、生活者の購買プロセスとして「AIDMA」というモデルが一般的であった。例えば、冷蔵庫を購入する際の消費行動を考えてみよう。生活者は、まずテレビCMで宣伝しているメーカー Aの冷蔵庫に注意を向ける(Attention)。そして、その冷蔵庫の特徴に興味・関心を抱く(Interest)。やがて、冷蔵庫の魅力を理解し、家にも1台置きたいと思うようになる(Desire)。その後、メーカー AのテレビCMを何度も見ているうちに、メーカー Aのブランドを記憶するようになり(Memory)、自分が、「過去に買った商品と比較して」十分に魅力的であれば、店頭で購入(Action)を起こす。このプロセスの頭文字を取って「AIDMA」と呼ぶ。

インターネットの普及前は、生活者が比較できる対象は過去の自分の体験しかなかった。慎重な人であれば、複数の店舗を回ったり、カタログを取り寄せたりして検討することもあっただろうが、手間と時間が掛かることから多くの人が「街の電気屋さん」に行って商品を購入していた。ここは重要なので、きちんと理解してほしい。インターネット以前には、生活者は「自分の過去の購買経験と比較して」購入の意思決定をしていたのだ。比較対象が少ないので、「商品の良さ」を広告で繰り返しアピールすることで販売できたのである。
ところが、インターネット普及後に購買プロセスは複雑化した。情報を受け取るだけでなく能動的な情報収集が加わったからだ。特に、大きな影響を与えたのは「インターネット検索」と「ソーシャルメディア」の存在だ。これにより商品に関心を持った後に検索サイトで「検索する(Search)」というプロセスが当たり前になった。そして、購入後には、購入体験者としての感想や意見をソーシャルメディアで発信し、ほかの人々と「共有(Share)」できる環境が生まれている。購買プロセスのモデルを「AISAS」と呼ぶ。最近では、これを拡張した「AISCEAS」と呼ぶモデルを使うことが多い。

検索で商品の詳細情報を得た生活者は、商品価格の比較(Comparison)、購入者の感想や意見などの口コミの評価(Examination)を確認してようやく購入の意思決定をする(Action)。この検索以降の行動によって、購入を断念したり他の商品の購入を決定したりすることもあるだろう。
中でも「共有、シェア(Share)のプロセスが加わった影響は大きい。インターネットの普及によって、購入したことをソーシャルメディアで話題にしたり、口コミサイトに評価を投稿したりする行為は容易になった。インターネット検索によって、それらの検証も簡単にできる。口コミ評価は多くの購入者の体験による集合知であり、以前のように自分や周囲の知人という限定された知識だけに頼っていた時代と比べると、各段に収集できる情報量が拡大している。しかも、共有した情報はさらにほかの人の「Attention」や「Interest」につながっていく。
なお、インターネット検索最大の米グーグル(Google)は、生活者が店頭で購入決定前にインターネットで調べる行動を「ZMOT(Zero Moment of Truth)」と名づけ、購買意思決定にかんする新しいマーケティングモデルとして提唱している。

個人のメディア化で重要になる 取り上げてもらうコンテンツ

商品に関する購入後の口コミは、インターネット普及する前からごく一般的に行われていた。しかし、その範囲は家族、友人、近所の人、会社の同僚など、本人が所属しているネットワーク内に限られていた。
この状況を大きく変えたのは、TwitterやFacebook、LINEといったソーシャルメディアの普及だ。生活者は、誰でも簡単に口コミ情報を発信できるようになった。そればかりか、ソーシャルメディアを通じて伝播する口コミの速さと量は、劇的に増加している。インターネット検索で口コミ情報を見つけることが容易になったことも大きい。

(出典)総務省「リアルタイム・マルチコミュニケーションツールに関する利用状況に関する調査」(平成22年)

出典:http//www.soumu.go.jp

上の図は、総務省が「リアルタイム・マルチコミュニケーションツールに関する利用状況に関する調査」(平成22年)で調べたTwitterの利用目的だ。1位と3位には「自分の興味・関心のある情報を伝えたいから」「自分の興味・関心のある情報を知りたいから」という回答が挙がっている。ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用目的でも、同じ回答が上位に入っており、自分の情報を発信するためにソーシャルメディアを利用する人が多いことが分かる。

自発的に発信する人の増加は、人々が自主的に情報を広めてくれる可能性の高まりを意味している。つまり、その行動を後押しするようなコンテンツや商品を作っていくことが重要になっているということだ。実際、様々な企画がこの環境を広告宣伝に生かし始めている。

コカ・コーラは、2014年に苗字と名前がプリントされたボトルのコカ・コーラを発売した。プリントされたボトルのコカ・コーラを販売した。プリントされた苗字、名前の種類はごく限られていたため、自分の名前を見つけるとうれしさからソーシャルメディアでシェアする人が多かった。この企画はテレビCMなどでは特に宣伝されていなかったが、インターネット上の人々の自発的な情報発信でシェアされ、多くの人が知ることになり、また購買行動にも影響した。

生活者による情報のシェアやインターネット検索の利用を意識する例は、広告の分野でも多く見られるようになっている。例えば、電車内に掲載されて広告では、電車内のスマートフォンを使っている人の意識を喚起するような仕掛けが増えてきた。広告にQRコードを印刷しておくといった例は分かりやすい。
実際、日本鉄道広告協会などが立ち上げた「交通広告共通指標推進プロジェクト」が2014年2月に発表したデータでは、車両広告を認知した人の約2割が「(その商品・サービスについて)ネットで調べた」と回答している。そのうちの66.5%が「スマートフォン・携帯電話で調べた」と答えた。スマホで詳細情報を得た乗客がソーシャルメディアを使って電車内から情報をシェアするという行動に移ることは容易に想像できる。

こうした例からは、生活者が情報を受容する形が変化していることが分かる。これまでのように企業が一方的に発信した情報を受け取るだけではなくなった。個人が情報端末を活用してプラスアルファの情報を得たり、シェアしたりできるようになったことで、情報の流れが多方向になったことを押さえておきたい。

訪問者が必要な情報 「おもてなし」としてのコンテンツ

生活者が知り得た情報の詳細を確認したり、比較したりするために、インターネット検索を使うようになったということは、企業側としてはこの行動を前提としたコンテンツを用意しておく必要がある。

例えば、週末に初めて粘土のハンドクラフトに挑戦したいと思った人がいるとしよう。恐らく、まずは材料をそろえたいと思って粘土について検索するだろう。そのときに、粘土の種類ごとの特性や選び方、使い方、ハンドクラフトの作り方などを詳しく掲載したウェブサイトがあったらどうか。検索でたどり着いた人は、「このサイトを見れば週末にやりたい内容がすべてそろいそうだ」と考えて参考にするだろう。粘土や道具もそのサイトで紹介されているものを購入する可能性が高い。

自社の製品に関連する「粘土」というキーワードでウェブサイトを訪れてくれた人を出迎え、必要な情報を提供するというおもてなしのコンテンツを用意することで訪れた人をサポートする。これが、インターネット検索時代のコンテンツマーケティングの基本である。

週末に粘土のハンドクラフトに挑戦した人は、自分の作品をブログやソーシャルメディアで公開するかもしれない。それを見た周囲の人たちが関心を持って「自分もやりたい」と思ったときに、作品を公開した人に何からはじめたらいいのか尋ねるだろう。自分もやりたいと考えた人は、参考にしたウェブサイトにシェアするだろう。良い情報は自然と共有され、その分野に関心の高い人々の間で伝わっていく。興味・関心を持ってくれる人がそのコンテンツを自発的に見つけてくれ、シェアして拡散してくれるのだ。
商品やサービスだけでなく、関連分野についてのコンテンツが充実しているとファンを獲得しやすくなる。もちろん、ひと口にファンといっても、関与度にはレベルがある。電通モダン・コミュニケーション・ラボは、このレベルを次のように整理している。

「SIPS ~来るべきソーシャルメディア時代の新しい生活者消費行動モデル概念~」(電通)

出典:http//www.dentsu.co.jp

最も関与度が低いレベルは「参加者」で、企業のウェブサイトを見たり、ソーシャルメディアのアカウントをフォローしたりしてくれる人だ。その次のレベルが、本当に「ファン」と呼べる人である。実際に商品を購入したり、企業のソーシャルメディアにコメントを書き込んでくれたりして、その企業を応援してくれる人々だ。

さらに関与度が高まると、「ロイヤルカスタマー」となる。商品を継続的に購入してくれる人、企業のソーシャルメディアが炎上したときに擁護したり、沈静化のために協力してくれたりする。そして、最高のレベルが「エバンジェリスト」と呼ばれる人である。自主的に企業の宣伝やサポートをしてくれる人々だ。まずは、ゆるい「参加者」を増やしてファンベースを育てていくことが重要になるが、そのためにはソーシャルメディアを使った継続的な情報発信はもちろん、ウェブサイトに充実したコンテンツを用意しておくことが重要になる。

B2Bビジネスにもコンテンツマーケティングの波

コンテンツマーケティングは、B2B(企業間取引)のビジネスでも重要なマーケティング施策である。考えてほしい。新しくパートナー企業を探すとき、会社に設備を導入するとき、担当者は様々な情報を集め比較・検討し、上層部に納得の得られる根拠を示して稟議を通すはずだ。導入決定までに、企業の公開するコンテンツにも必ず目を通すだろう。その内容が信用に値し、専門知識が豊富で、読者にとって課題解決の糸口を提供してくれるものであれば、その企業への信頼度は各段にアップする。
B2Bのコンテンツマーケティングの事例を紹介しよう。米イルミナ(Illumina)は遺伝子解析ツールの開発を手掛けるB2B企業で、アカデミックな研究機関から製薬企業、バイオテクノロジー企業まで多くの顧客を抱え、世界でも最先端の研究を行っている。同社は1998年設立の比較的新しい企業だ。イルミナのウェブサイトを訪れると同社のツールを使ったゲノム解析のデータに加え、学術論文などの豊富な情報が公開されている。またオンラインセミナーの「ウェビナー(Webonar)」も定期的に開催し、情報発信に努めている。

ビジネス特化型のSNS「Linkedln」に、コンテンツマーケティングに関連したイルミナの求人情報が掲載されていた。サイエンスマーケティングコンテンツのマネージャーを募集しているという。業務内容としては、「コンテンツの制作チームの統括」に加え、「会社の成長に必要な同社のマーケティングコンテンツを拡大する基盤の確立」「コンテンツ戦略の立案」「マルチチャンネルにわたるコンテンツの作成」「コンテンツ再利用や拡散のための仕組みをつくること」などが記載されている。
意外なことにイルミナは、必要なスキルとして遺伝子解析の知識を強く求めているわけではない。代わりに、マーケティング・コミュニケーション、コンテンツストラテジー、ユーザー中心のデザインなど、コンテンツ制作や公開(パブリッシュ)に関するスキルを重視した人材募集となっている。この求人情報からもイルミナがコンテンツマーケティングを重要戦略と捉えていることがうかがえるだろう。

コンテンツマーケティングを理解できない会社は生き残れない

あなたが「我が社もコンテンツマーケティングを取り入れませんか…!」と上司に提案したときに、すんなり提案を受け入れてもらえそうだろうか。「なんだそれ?初めて聞いたんだけど」「もう既に他の販促キャンペーンをやっているから、必要ないだろ」などなどと返されてしまうのではないだろうか。
しかし、ここまでに述べてきたように生活者のメディア利用は様変わりした。自ら必要な情報を得るようになった生活者には、これまでのような企業側の都合によるメッセージ発信は伝わらなくなっている。広告費をかければモノが売れたのはもはや昔の話。古き良き時代を懐かしんでいても仕方がないだろう。今のままのやり方に固執している会社はこの先、生き残れないのだから。

Case1:効果は測定できる

「商品を売るな」著者:宗像 淳

例えば、上司の最も分かりやすい反応は、「コンテンツマーケティングを実施しても、効果が分からないのでは?」というものだろう。確かに、直接的に自社の商品やサービスを宣伝しないコンテンツマーケティングは、効果が分かりにくい印象がある。
だが、実はそうではない。定期的に測定することで、コンテンツマーケティングの効果は定量化できる。マスメディアで広告を露出するよりも、むしろ分かりやすい側面もある。そのためには、あらかじめ「KPI(Key Performance Indicator:重要業績指標)」を決めておく必要がある。それを用いて継続的に測定することで、効果を可視化できるのだ。例えば、コンテンツを見た人数「ユニーク訪問者」やコンテンツを表示している時間「ページ滞在時間」からは、どれだけの人がコンテンツを見て、どのくらい関心を持っているかが分かる。訪問者数が多く、滞在時間が長いほど関心を持ってコンテンツに接触している人が多いということだ。

ソーシャルメディアを活用すれば、ソーシャルメディアの「フォロワー数」の多寡でブランド認知率を把握し、投稿したコンテンツの「シェア数」の多さによってコンテンツの「シェア数」の多さによってコンテンツの人気度(共感度)が分かる。シェアされたコンテンツや、コンテンツ自体へのコメントを読むことで読者の反応や意見を得られる。

ホワイトペーパーやインフォグラフィックスのようなダウンロード可能なコンテンツを用意しておけば、見込み客(関心を持ってくれたユーザー)のリード情報、つまり属性情報を把握できるだろう。ダウンロードする際に特定の入力フォームに属性情報を入力してもらうようにすればいい。その情報を使えば、見込み客が実際に商品を買ったかどうかを評価できる。どのコンテンツを見た人が、会員登録、メルマガ登録、ダウンロード、問い合わせ、購入などをしてくれたかが分かれば、効果的なコンテンツを準備する際の重要な目安になるはずだ。

上司から効果測定について問われたら、自信を持って「効果は目に見える形で提示できます」と答えればいい。コンテンツマーケティングは、商品やサービス、会社のファンになってくれた人を見える化できるツールなのだ。経験と勘に頼るビジネスはそろそろやめよう。コンテンツマーケティングでは、「生活者が何に興味を持ち、どのような経路で購入するのか?」ということを数字で把握できるようになる。このデータは、御社のビジネスにとって、貴重な資産になるのではないだろうか。

Case2:コスト削減につながる

「予算がないから始められないよ」――。これも、コンテンツマーケティングを提案したときに上司から言われるであろうひと事だ。これには、「一般的な広告に比べると、コスト削減につながります」と答えても大丈夫である。コンテンツマーケティングでは自社のウェブサイトにコンテンツを置いておけばいいからだ。過去に作成したコンテンツを蓄積できるので、継続すればするほどコンテンツは増えていく。扱う商品分野に興味を持つ人々はインターネット検索で関連するキーワードの情報を探す。その際に検索者にとって有用で人気の関連コンテンツの数が多ければ、自社のコンテンツにたどり着いてくれる可能性は高まる。そうしてたどり着いたコンテンツが役立てば、ソーシャルメディアでシェアしてもらえることも増えるだろう。

マスメディアやインターネットを用いる従来の広告手法のほとんどは露出量に応じて出稿費用がかさむ仕組みで、大きな予算を掛けて一定期間しか使わない広告を作成する傾向が強い。それに比べれば、コンテンツマーケティングはお金を掛けて宣伝しなくても、自社のウェブサイトや商品を顧客の方からみつけてくれるチャンスが増え、かつファンになってくれる可能性を秘めているわけだ。
コンテンツマーケティングの効果を測定した調査データも存在する。米ニールセン(Nielsen)のレポートによれば、特定ブランドの消費材のオンライン広告だけを見た世帯に比べ、そのブランドに関するコンテンツだけを見た世帯の方が、商品1個当たりの売り上げ増加分で3倍の効果があるという。米カポスト(Kapost)のレポートでは、コンテンツマーケティングはコンテンツ制作時に費用が掛かるものの、コンテンツを長期間にわたって公開できるため、公開後5ヶ月でリード情報の獲得の単価が一気に下がるとしている。

Case3:社内でやれる人を探すことと育てること

これまで取り組んできていないので、社内にまコンテンツマーケティングに取り組める社員がいないと思い込んでいる上司も多い。そうした上司が発する言葉は、「面白そうだけど、社内にやれる人がいないからなぁ」というものだろう。
しかし、社内をよく見てほしい。日常業務でコンテンツ制作に携わってきた社員は意外に少なくないはずだ。手掛けている仕事のアウトプットを「コンテンツ」と呼んでいなかったり、「コンテンツマーケティング」と名付けられていなかったりするだけのケースは多いのである。

例えば、ほとんどの企業はウェブサイトを持ち、日々運用しているはずだ。商品販売用のECサイトを持っている企業もあるだろう。その制作チームや、外部の制作会社とのやり取りをしている社員は、コンテンツマーケティングの担い手の候補になり得る。
営業や販売促進の担当で顧客向けの説明資料やメールマガジンを日々制作しているスタッフはいないだろうか。商品開発部門で商品パッケージのデザインを担当するデザイナーもコンテンツ制作で力を発揮してくれるだろう。このほかにも、メディア対応の窓口となり、ニュースリリースを日常的に作っている広報担当者、社内報の担当者もコンテンツマーケティングにはうってつけの人材である。

こうした社内外に向けてコンテンツを制作した経験のある人々の中から、コンテンツマーケティングができそうな人、やる気のある人を探してみよう。最初はスモールスタートでできることから始めて、効果を見ながら徐々に拡大していくのもいいだろう。経験を積む中で売るためのコンテンツだけではなく、顧客の役に立ち、よいよい生活のためになるようなコンテンツを制作できるようになっていくはずだ。

Case4:国内でも既に企業が取り組んでいる

「コンテンツマーケティングなんて前例がない。アメリカの話でしょ?」。上司にこう言われても、肩を落とす必要はない。国内でも、コンテンツマーケティングに取り組んでいる事例はすでにたくさん存在している。

例えば、花王は「マイカジスタイル」というウェブサイトで、家事全般のお役立ち情報を公開している、このサイトに掲載しているコンテンツは、同社の商品情報ではない。男性、女性、子どもがいるひと、ペットオーナーなど、読み手のライフスタイルに合わせて記事を探せるようになっている。
マイカジスタイルを訪問する人の6割は、インターネット検索経由でアクセスしてくる。検索の際に使うキーワードも商品名ではない。「型くずれ 洗濯」「アイロン かけ方」といった生活の課題を解決するキーワードで検索してコンテンツにたどり着くという。サイト内のコンテンツでは、同社の商品で読者の課題を解決することはほどんどなく、身近なものを使った家事のアイデアやコツを紹介している。生活者の知りたいことに合わせてコンテンツを作り、上から目線のメッセージを排除した。これによって花王のファンもそうでない人も集まりやすくなっている。

コンテンツマーケティングに取り組んでいるのは、花王のような大企業だけではない。首都圏を中心にカーシェアリングサービス「カレコ」を展開するカーシェアリング・ジャパンは、2013年からブログを開始した。交通安全やお出かけスポットの紹介など、ドライブに役立つ情報やドライブを楽しむだめの情報を公開している。このブログもインターネット検索経由のアクセスが7割ほどで、記事が増えるにつれてブログからの会員登録が増えているそうだ。
国内企業が続々と挑戦するコンテンツマーケティング。挑戦しないと競合他社に出し抜かれてしまう可能性もある。今のうちに十分に情報収集をして、御社のビジネスに取り入れていくことをお勧めする。

ユーザーの広告スキップとアドブロック技術はますます進んできている。
コンテンツマーケティングを米国以上に浸透させていき、マーケティング生産性をいち早く向上させることが急務となっている。

この記事を読んだ人におすすめの記事

    アクセスランキング

    あわせて読みたい

      @Concierge資料請求

      @Conciergeとは:
      見込み客を新規ユーザに育てるためのWEBコンシェルジュ型オウンドメディア構築ASP。
      ただ開業するだけでは終わらない、他社オウンドメディアと差別化する、優れたメディア構築が可能です。

      必須お名前
      必須フリガナ
      必須メールアドレス
      必須企業名
      必須部署名
      必須役職
      必須電話番号
      必須検討状況 (ご選択下さい)
      個人情報の取り扱いについて

      KABUKI > コンテンツ > コンテンツマーケティングが解決してくれる!?ア...

      人気のキーワード